2009年6月28日日曜日

西郷南州遺訓集

先日のMPIセミナーで山崎さんがあげていた「西郷南州遺訓集」は自分にとっても大事な本の一つで、大学生の頃から折を見ては読み返しています。

この西郷南州遺訓集、編纂は庄内藩によるものですが、なぜ庄内藩なのか、ということについてはあまり疑問を持つこともありませんでした。

それが変わったのは、大学3年の時に日米学生会議の事前準備として横須賀の防衛大学校の講義に参加したときのことでした。たまたま題材が「西郷南州遺訓集」を用い、「日本型のリーダーシップとは何か?」というテーマで防衛大学校生とディスカッションを行う、というものでした。

その時は自分が心理学専攻だったこともあり、「戦場における人間の心理」について、南極基地などの閉鎖空間における人間の関係性と、多重人格について発言したことをおぼろげながらに覚えています。



幕末における庄内藩と薩摩藩は仇敵であり、藩邸の焼き討ちや東北における戦いなどで対立関係は決定的なものになっていました。戦局の流れに伴い庄内藩は降伏することになり、薩摩藩との経緯を踏まえ、厳しい処分が下ることを予想していた庄内藩士にとって、予想外に寛大な措置(減封のみ)が取られたのでした。この背景には西郷の指示があったことから、手紙のやり取りや薩摩訪問などを経て、この本がまとめられていくことになったのです。詳しい内容は本を直接読むことをオススメしますが、個人的には、当時と今では、少し目に留まる箇所が変わってきました。

国家の大業
命ちもいらず、名もいらず、官位も金もいらぬ人は、仕抹に困るもの也。此の仕抹に困る人ならでは、艱難を共にして国家の大業は成し得られぬなり。去れども、个様の人は、凡俗の眼には見得られぬぞ


もう一冊、気合を入れたい時に読む城山三郎の「官僚たちの夏」がこの7月からドラマ放映されるようです。